サミュエルベケット『いざ最悪の方へ』を読んで

サミュエルベケットアイルランド出身の作家です。フランス語で多くの作品を書いたり訳してるので、あまりアイルランド、てイメージはないかもしれませんが。

戯曲の『ゴドーを待ちながら』なんかは知ってる人も多いのではないでしょうか。
今回読んだのはそのサミュエルベケットの作品。

つまづく、薄暗い、光、といったキーワードをひたすら繰り返しながら、ひたすら進んでいく作品。
個人的には、思考の反芻に似たイメージなのかなぁ、とか思いました(しかし僕はいかんせん反すうをしないのでよくわからないです)。
何度も同じキーワードや場面がフラッシュバックみたいに浮かんで、記憶の泥の中をのそのそ進んでいくような雰囲気。
読む人によってはとても辛くなるだろうなあ、という本です。
僕は、これが反すうの疑似体験なのかなぁ、なんて思いながら読んでいました。
表現も綺麗なんだけど、意図的にひたすら同じ表現が繰り返されるので、人によっては退屈かもしれない(ちなみに反すうの疑似体験とか偉そうにいっておきながら僕は退屈でした)。

あ、でも、素敵な一節も、例えるなら薄暗い沼地に生えるハスの花みたいに、時折ひょっこりと顔を出します。他の方もブログで書いていたけど、この本のこの表現なんかは最高だった。

Ever tried. Ever failed. No matter. Try again. Fail again. Fail better.(知性がない。さんのブログ(http://noubrain.hateblo.jp/entry/readingweek1_beckett)より引用)