銀杏BOYZは僕のヒーロー

昨日、10/13(金)、13日の金曜日に、銀杏BOYZのライブに行ってきました。

このライブは、ただ単に楽しみにするだけじゃなくて、僕が色々な思いを胸に、ある種けじめをつけるつもりで参戦してきたものでした(大げさかもしれませんが)。

その話をする前に、僕の銀杏BOYZとの歴史を少し語らせてください。


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銀杏BOYZというバンドは、僕が高校の時から大好きなバンドです。

最初は、「ステージでちん○を出したりするバンドがいるらしい!」と聞いて、中学生のときに『あの子は綾波レイが好き』を聞いたことがきっかけでした。

その時の感想は…









わけわからんwというものでした。

ロッキンのライブ映像なんかを見たのですが、演奏めちゃくちゃだし、何歌ってんのかわかんねえwww

当時はバンプエルレ、オアシスやレッチリを聞いていたので、あまり受け付けなかった気がします(ニルヴァーナも聞いてたので、かろうじて受け入れられた)。

それでも、なんとなく彼らのことが頭に残っていて、その後しばらくして高校入って軽音部に入った後のこと。

文化祭で、僕の尊敬する先輩が、ベイビーベイビーをカバーしたんですね。それが最高にかっこよくて。調べたら銀杏BOYZ、というか前進バンドのGOING STEADYの曲であると知りました。そこから調べていって、僕がこの世で一番好きな『銀河鉄道の夜』という曲に行き着くわけですが。


そんなわけで、銀杏BOYZとは、高校時代を共にしてきました。弾丸ライナー、という名前の青春パンクのコピーバンドでは、実際に銀杏の曲もたくさんやったし、やってるオリジナルバンドも、多分一番影響を受けてたのは銀杏BOYZだったと思います。


ただ、僕が高校三年生の時、銀杏BOYZがだした『光のなかにたっていてね』というアルバムを聴いてから、僕は銀杏BOYZの音楽から少し離れることになりました。

そのアルバムは、ノイズミュージックを前面に押し出していました。

抽象的な表現になるのですが、僕は銀杏BOYZのギターの、歪ませたけど飾り気のない、キラキラした音が好きだったんですね。別にその歪んだギターをノイズとして認識してたわけではなかったので、なんだかすごく悲しかったです。このアルバムを出すあたりで、メンバーがボーカルの峯田以外皆やめてしまうのですが、そういうこともあったからか、打ち込み要素が目立っていました。打ち込みがダメだというわけではないけど、やはり僕にはあのチン中村のギターが前面に押し出されていてほしかった。

後、歌詞が抽象的になったり、物語性や情景描写がなくなったのも大きかったです。例えば、僕の好きな銀杏BOYZの曲たちの歌詞はこんな感じです。


シベリア鉄道乗り換え 東北を目指します/ハロー、今君に素晴らしい世界が見えますか/北風は吹雪くのをやめ、カシオペア輝いて、恋人たちは寄り添って静かに歌うのでした」(銀河鉄道の夜)


「君と別れて僕は石ころになって蹴っ飛ばされて転がって疲れた/出会えた喜びはいつも一瞬なのにどうして別れの悲しみは永遠なの/

僕と別れて君は仕事を辞めて 新幹線に乗って郡山へ帰った/車窓から眺めた空は何色だったろう/君の心の色は何色だったろう」(東京)


「君を乗せた宇宙船が夕暮れの彼方に消えて/光るプラネタリウムいっそのこと僕を吸い込んでよ」(夢で逢えたら)


これは別にポップな曲だけではなく、必死にシャウトして轟音ギターが前面に出た曲でもそうだったんですね。

例えばこのような感じです。


「死にたい奴は茜色の空を見なよ/同じ誰かも同じ空を見てる」(若者たち)


「星空は綺麗だ 可哀想なくらい綺麗だ/夜のスクリーンに君の顔映してくれた/いつか大人になって僕が君を探すから いつか二人だけで二人だけで結婚式を挙げよう」(あの子に一ミリでもちょっかいかけたら殺す) 


「連邦警察が動き出してる 今夜は誰が殺された お月様はフォークを聴いてる」(童貞フォーク少年、高円寺にて爆死寸前)


全ての曲に物語があって、想像力を喚起させる綺麗な詩的表現があった。ギターだけでなく、歌詞も歌声もキラキラしていた。


で、『光のなかにたっていてね』の曲は例えばこんな感じ


「光 光 光 君を包めよ 光 光 光 僕を置いてくなよ いけるかな 君のいる場所へ」(光)


さらにその後はこんな感じ

「生きたくってさ 生きたくってさ 生きたくってさ」(生きたい)


ちょっと悪意のある引用かもしれませんが、やはり歌詞の変化は大きかったです。

もちろん、ぽあだむみたいなキラキラした歌詞の曲もありました。

メンバーが一新されてから、新譜のエンジェルベイビーみたいなかつてを彷彿とさせる曲調の曲も出ました。

でも、なにかが違う。歌い方もすっかり拳を効かせたものに変わってしまって、歌、ギター、歌詞のキラキラが三位一体になった銀杏はもうなくて


そんな銀杏BOYZを見ていることは、なんというかとても複雑な気持ちで、今回、そんな気持ちにけりをつけに武道館ライブに参戦しました。


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偉そうなことを書きましたが、そんな風に参戦した銀杏BOYZのライブは、本当に素晴らしいものでした。


ライブの最初にオープニングムービーがあったのですが、その曲のBGMのメロディが「東北新幹線はチヒロちゃんを乗せて」であったことに気づいて、いきなり泣いてしまった(単純)。


最新曲のエンジェルベイビーからスタートしたのですが、なんと若者たちや駆け抜けて性春のような、懐かしい曲も飛び出ました。

何が嬉しかったって、これらの曲が、昔みたいにキラキラしてたんですね。

抽象的な表現になるのですが、本当にキラキラしていました。


去年ベイキャンプで見たときも若者たちを聞いたけれど、何か違っていたんですよね。歌い方も、なんだか昔に戻ってきた気がしました。それでいて、太い声になったのは、多分これまで変えた歌い方があったからこそなのかとも感じました。この歌を峯田は目指していたのかな、と感じる歌でした。


その後のMCでは、自身の人生をフルマラソンを100メートル走で走っているみたいだと例えて「周りはフルマラソンのペースで走ってゴールしてったけど、おらはまだできてねえ。ぶっ倒れて空を見て、そこからまた全力で走り出す。そんな風にやります。」と話していた。


べろちゅー、からの4曲は新しい曲でしたが、しっかり昔の曲の中で輝いていた気がします。クリープハイプカバーのサビのコーラスがとても好き。


その後のMCの後、「夢で逢えたぜ!」て叫びと共になだれ込んだ夢で逢えたらでは、感極まってまた泣いてしまいました。

さらに、大好きな曲だけど、もうライブでは聞けないと思っていたレア曲、ナイトライダーやトラッシュまで飛び出して、さらに泣いてしまいました(泣いてないさー、た歌詞を泣きながら歌った)

あいどんわないだいも皆盛り上がっていた。


そしてなにより、ベイビーベイビー、新訳銀河鉄道の夜の二曲。

メジャー曲で皆知ってる曲で、それでも、銀杏の色んな曲を聴いた今でも、やはりこの二曲が僕の原点です。

昔は嫌いだった新訳銀河鉄道の夜のアレンジも、この日は本当に胸にスッと入ってきて、また泣いていました。この時バックスクリーンにキラキラ光りが揺れていて、本当に綺麗で、目に今でも焼きついています。


ノーフューチャーノークライまで飛び出して、新旧織り交ぜた、本当に素晴らしいセットリストでした。

嫌いだった「光」も、その轟音の中でのパフォーマンスが本当に物凄くて、一気に引き込まれていました。

最後の曲が、僕たちは世界を変えることができない、なあたりも銀杏らしい。



そして、アンコールでは、なんとあの「人間」も飛び出しました。


この曲は、このライブ映像で見てからずっと見たかった曲。

https://youtu.be/oIt5CYvsYNA


何がすごかったって、この日のライブは、この曲のMCに言及していたんです。

「昔ライブで『幸せな奴はここからでてってくれ!』て言ったことがある。けど、お金もなくて、恋人もいない人生と、お金もあって、結婚もして、それでも満たされない、それと、果たしてどちらが幸せだろうか。今はそう思います。」

何年も見てきたライブ映像のMCあのアンサーが聞ける、そして、十年以上の時を経て、その曲が同じように弾き語りで聞くことができる。このすごさたるや…本当に嬉しかったです。


ぽあだむをやって、最後はなんとまた懐かしい曲「もしも君が泣くならば」でフィニッシュ。

もう本当に涙も枯れ果てたという感じで、最後は笑顔で見送りました。

本当に素晴らしいライブだった。



この日の峯田はすごく感傷的で、過去のできことに言及することが多かったです。昔高校の時バンドを始めたきっかけ、グリーンデイのライブを見た後、バンドで生きて行くと決めたこと。高円寺にて初ライブをしたこと。極め付けは、ゴイステのメンバー、銀杏のメンバーへの感謝の言葉まで。



本当に、これまでの歴史を全て詰め込んだ、そんな武道館だったのだと思います。



ベイビーベイビーの曲の前に、こんなMCがありました。

「この曲を始めてスタジオに持っていって、この曲を披露したら、村井くんはもう涙目になってて、凄い曲持ってきたねえって。それから僕は、この曲を歌うときはいつも、後ろに前のメンバーもいると思って歌っています」


なんというか、僕が聞きたかったのはこの一言だったんだと思います。そして、そう言って歌った峯田の歌声は、曲は、歌詞は、全て昔のままキラキラしていました。



だから、僕はこれからも銀杏BOYZをずっと聞き続けるようと思いました。


ごっぴ







セットリスト(日刊セットリスト より引用)。



1.エンジェルベイビー
2.まだ見ぬ明日に
3.若者たち
4.駆け抜けて性春
5.べろちゅー
6.骨
7.円光
8.二十九、三十
9.夢で逢えたら
10.ナイトライダー
11.トラッシュ
12.I DON’T WANNA DIE FOREVER
13.恋は永遠
14.BABY BABY
15.新訳 銀河鉄道の夜
16.光
17.NO FUTURE NO CRY
18.僕たちは世界を変えることができない

アンコール

19.人間
20.ぽあだむ
21.もしも君が泣くならば